妻のお店で、一人たたずんでいたときに、お客様がやってきました。
私は、お店のことがわからない。
とりあえず、「いらっしゃい。お店の者を呼んできまーす!」とお客様に声をかけ、
「おーい!お客様ですよー」と妻を呼びました。
妻がやって来ました。
「お客様、お待たせしました。」
すると、お客様。
「お饅頭ください!」
妻。
「あぁ、それは和菓子屋の○○さん。先の点滅信号を右折すると左側にあります。」
お客様。
「あら、ありがとう。気持ちよく教えてくれるのね。
そうか。ここはおせんべい屋さんね。ピーナッツの入ったふわふわなヤツちょうだい。」
妻。
「あぁ、それは△△さん。点滅信号の先のコンビニの信号を右折すると右側にあります。」
お客様。
「あら、ありがとう。
あなたは、本当に気持ちよく教えてくれるのね。他のお店では、嫌な顔されるわよ。
私、ショップで働いていたことあるけれど、あなたは気持ちいい。
初めてだけれど、ひとつ買ってくわ。何を買えばいいかしら!」
見えない価値を提供したら、お客様が喜んでくれた。
お客様が、ほかのお店と間違えてお越しになることがよくあります。
そんなとき、妻は気持ちよく教えます。
父も、亡くなった母も、息子たちも。
歪んだ心の持ち主の私とは違う…。
冗談です。私も丁寧に案内します。
でも、下心は一切ありません。
見えないものを売っているつもりもありません。
ただ、
ただ、
善。
みんなにとって善いことは何か?という思いで案内しています。
親切は感染する。
だから、売込は感染してしまう。
ビジネスをやっていれば、成功したいですよね。
だけれど、“成功”って、お金を稼ぐことだけではまったくありませんよね。
ビジネスとは何か?
この価値観がズレていると、お金は寄ってきてくれません。
だって、お金はお客様が寄ってくることで、いただけるものだからです。
先日、あるお客様との打ち合わせでの言葉。
「これまでにない手ごたえを感じています。」
「もっと、地元のお客様に役立ちたい。」
経営者である彼の声の奥には、これまで一緒に歩んできた気持ちが添えられていました。
弊社のスタッフが、丁寧に関わった15年。
そのプロセスが形づくった成功の姿でした。
彼は、自分を成功者と言わない。
成功しようとも思っていない。
ただ、
ただ、
ひたすらに大工道を歩んできました。
だから、私たちは彼を成功者の一人と呼びたくなるのです。
大工の彼は、新築、建て替え、リフォームを売っていません。
会社に訪れるお客様の話を、
ただ、
ただ、
丁寧に聞きます。
集客にAIを使わない。
YouTube、インスタグラムなど、SNSは使わない。
昔ながらのチラシと、ホームページ。
そして、Googleビジネスプロフィールで集客します。
彼は、見えないものを提供する。
そして、見える物を提供する。
もちろん、見えない価値を提供しているから、
リフォーム部門の粗利は40%を超えます。
価格はライバルより高い。
めっちゃ高い。
だけれど、負けません。
彼は絶対の価値でビジネスをしています。
それは、『良心』。
彼を見ていると、彼とお付き合いさせていただくと、
私の『良心』が喜び、育まれます。
そういうこと。
本当に善いビジネスをするには『良心』です。
ほかは、後からついてきます。