マーケティングにおけるエバーグリーンコンテンツとは、流行に左右されない普遍的なテーマで書かれた、高品質かつ読者にとって有益なコンテンツを指します。
普遍的なテーマであるため古くなることがなく、ニーズを持つユーザーが永続的に発生します。同時に検索エンジンでの表示対策であるSEO面での効果も発揮し、検索エンジンで上位表示されやすくなるため、サイト【一連のWebページ群】への継続的なアクセスの獲得が見込めます。
成功事例: 遠く離れた東京から1000万円のリフォーム依頼を獲得
そんなエバーグリーンコンテンツの効果を皆様にお伝えしようと始めたこの企画。
初回は、1000km以上も離れた東京から福岡県の会社様へのご依頼があったという事例を紹介します。
弊社宛に届いた感謝のメールから一部を伏せて抜粋します。
「1月から問い合わせを頂いておりました、東京に住む方からのリフォームの依頼が、今日決まりました。
相見積もりでしたが、私たちに工事をお願いしますとLINEがありました。
こちらの方は、◯◯◯にお家があり、お母さまと住むためのリフォームです。
リフォーム代金は、1000万程です。
実際にお会いさせて頂いたのは、2回。
その後、LINEビデオ通話2回の打ち合わせでした。
遠くのお客様からのご依頼を頂き、リフォーム現場は、◯◯建設事務所の近所5分から10分の距離です。エバーグリーンコンテンツ大変お世話になって、ありがたいことがたくさん起きています。」
1年前と比較するとユーザーは2倍に

最初の問い合わせがあったという2025年1月〜2月の期間について、Googleアナリティクス(Analytics)を基にした弊社作のレポートで確認してみました。
前年と比較してサイト全体では、
・アクティブユーザー【一定条件の有意な行動をしたユーザー】の数が99.4%アップ
・新規ユーザー【過去にサイトを訪れた履歴が残っていないユーザー】が101.9%アップ
と、およそ2倍のユーザーを獲得していることがわかりました。
行動面では、
・セッション数【サイトへのアクセスの数】が42.4%アップ
・エンゲージ【アクティブユーザーの条件となる行動】のあったセッションも41.4%アップ
東京からのアクセスに絞り込んで表示すると、更に大きな割合で増加していることが確認できました。
・アクティブユーザー は 269→729(171%アップ)
・新規ユーザー は 262→721(175.2%アップ)
・セッション数 は 297→769(158.9%アップ)
・エンゲージあり は 107→324(202.8%アップ)
引き続き同じ条件で、コンバージョン【電話の発信やフォームの送信などの特に有益なユーザーの行動】を確認すると、発生件数は 1→13(1200%アップ)。
このうち弊社が設定・計測している3種類のコンバージョンは、
- サイトからの電話 3件
- 問い合わせフォームからの送信 3件
- LINEへのリンククリック 4件
の発生が確認できました。
その内訳を確認すると、
ユーザーが閲覧に使用した機械を区分する「デバイス」は
① 全て携帯
② PC 2:携帯 1
③ 全て携帯
どこからサイトに来たかという流入元を表す「参照元」/「メディア」は、
① 全て(direct) / (none)【参照元がないと判断されたアクセス】
② (direct) / (none) 2:google / organic【Google検索結果からの流入】 1
③ (direct) / (none) 1:google / organic 3
東京に絞り込み済みですが、「地域」も確認してみると、
①,②ともに not set【情報が取得できなかったアクセス】
③ 新宿区 1:not set 3
という結果でした。
※プライバシー保護のため一部の情報をGA4が暗号化する仕様があり、それを元にして導き出される地域などの情報も伏せられnot setとして扱われる場合があります。
どのページがユーザーを導いたのか
サイトの中でユーザーが一番最初に開いたページのことをランディング(着地)ページと言います。ユーザーの知りたい情報があるページは「検索結果の表示をクリック」され、繰り返し見る価値のあるページは「ブックマークから再訪問」され、CM・紙面・看板などが気になれば「QRコードのリンクを開く」などの行動を引き出します。ユーザーの欲求に応えるページや仕組みを用意することでユーザーを導くことがWebサイトの集客には欠かせません。

ランディングが発生したページをセッション数とユーザーの多い順に並べると、トップ10の半分が、/blog/〜で始まるブログ記事を投稿している階層のページで、全地域918/東京406のランディングがありました。このサイトにおいてブログ投稿が重要な役割を果たしていることの証明といえます。
特に、サイトの玄関と言えるトップページ( / として表示)が全地域279/東京99なのに対して、全地域493/東京194と倍に迫るセッション数を稼ぎ出している/blog/1792/は、このサイトにおける最大のエバーグリーンコンテンツといえます。
流入経路を確認すると「参照元」にはgoogle,yahoo,bingなど検索エンジンの名前が多く見受けられます。また「メディア」の86%がorganicであることを合わせると、このサイトの流入経路は、検索エンジンからの自然検索が圧倒的多数を占めていることがわかります。
Google検索ではどうやって表示されたのか
/blog/1792/は、今から1年半以上前の2023年11月に投稿され、最終更新が2024年6月に行われた、”工事代金の支払い時期”についてをテーマにした1350文字ほどの記事です。
自然検索からの流入が多いということで、Googleサーチコンソール(Search Console)を基にしたデータについても確認してみましょう。

Google検索クエリ【Googleで使用された検索語句】とそれによってランディングが発生したページを確認した画面です。背景が水色になっているのは、検索結果の表示順位が平均5位以内で表示されたクエリです。
最もランディングを獲得したクエリは「工事代金 支払い時期」で、発生したクリックのおよそ1割がこのクエリに集中しており、平均順位も3.75と好位置を確保しています。
背景を水色で表示している平均順位が高かったクエリの語句と、タイトル・本文への出現数をまとめると表のようになります。
含まれる語句 | タイトル中の数 | 本文中の数 |
---|---|---|
工事代金 | 1 | 3 |
支払い時期 | 1 | 0 |
時期 | 1 | 2 |
支払い | 2 | 10 |
いつ | 1 | 1 |
リフォーム | 1 | 3 |
近年のSEO対策としてコンテンツ作成の際には、この他に見出しとして使われるhタグの中も含めた数種類の配置場所を意識し、記事のテーマに沿った語句、ユーザーがテーマから連想しやすいキーワードを自然なバランスで含めることが求められます。一時期のような過剰なキーワードの詰め込みや、文章に対しての割合に神経を割くよりも、よりユーザーが読みやすく、正確で有益な情報であること=優良なコンテンツであることが上位表示に求められる条件となっています。

最後に、投稿された記事がどれくらいの期間で効果を発揮するのかを見てみたいと思います。公開から2025年2月までの様子を週単位で表示してみました。
/blog/1792/の投稿は2023年11月、最終更新が2024年6月です。
公開から11・12月はアクセスがありませんでした。1月に入ると緩やかにアクセス数は増えましたが、週のセッション数が10件に満たない低空飛行が続きました。
公開からおよそ半年後の4月末にようやく動きが見え、それまでの倍のセッション数を記録すると、その後順調に数字を伸ばし、現在に至るまで継続してアクセスを稼ぐというエバーグリーンコンテンツの役割を果たし続けています。(5月初頭と8月中頃、年末年始に大きく下がっているのはゴールデンウィークとお盆・お正月が影響していると思われます。)別のブログ記事についても確認しましたが、やはり投稿当初に低空飛行が続いてから上昇・安定する同じような軌跡を描いていました。
このサイトの例では、安定したアクセスを得られるようになるまで、公開から半年という時間を要したことになります。
その後、継続するアクセスを獲得したのは、そのコンテンツが「有用性」・「独自性」・「正確性」に優れたものであることをGoogleが認め、検索の上位に表示したからです。上位表示されたページは必然的に、閲覧したユーザーの行動によりアクセス数の増加、被リンクの獲得、SNSでの拡散などの様々な副次的な効果も生み出します。それにより、サイト自体がGoogleから更なる評価を得ることが期待できます。
まとめ
今回の事例でご覧いただいたように、エバーグリーンコンテンツは、短期的な成果を求めるには向かない手段です。エバーグリーンという名に倣うなら、記事は苗のようなもので、根付いて青々とした葉を茂らせるまでには時間がかかるからです。SNSが普及し、情報・流行の変遷が高速化している現在においては、途方もない時間と言えるかもしれません。
しかし中・長期的に見るならば、継続した集客を発生させることができる、他に類を見ない程に優れた施策です。
エバーグリーンコンテンツを目指して書いた記事が、思ったような効果を出せないこともあります。効果が出ても1ページでは特定のテーマを持った顧客しか集められません。
1本投稿した後もただ待っているのではなく、次の苗を用意〜定期的な投稿をし、時には投稿済みの記事に手を入れるといった日頃の積み重ねで、複数のエバーグリーンコンテンツを持つサイトに育てましょう。