※柔道整復師様、理学療法士様の独立モデルのブログです。
治療院があるだけでは集客できない時代へ
「あれっ? 新患が減った……」
「看板さえ出せば、どうにかなると思っていた……」
「そういえば、いつの間にか似たような整体や接骨院ばかり増えたな……」
歴史を振り返れば、同じビジネスモデルが永続的に成功し続けることを、時代は一度も許してきませんでした。市場が飽和すれば、どんなに技術を研鑽しても、モデルそのものが崩壊へ向かう。これは、これまでも、そしてこれからも変わることのない必然です。
今、整骨院やリハビリ施設の店舗型ビジネスもまた、決定的な転換期を迎えています。かつては10年続いた成功パターンも、今は数ヶ月から1年で姿を変える激動の時代。だからこそ、私たちは「時代が変わっても変わらない普遍のもの」を正しく見極めなければなりません。
これからの治療院ビジネスはどうなるのか。その答えを探るために、私たちが歩んできた歴史と、ドラッカーが予見した「事業の定義」の変質を紐解いてみましょう。
歴史に学ぶ。
これまでのビジネスモデルを振り返ってみましょう。
【1990年代〜2005年頃】 制度依存と「事業の定義」の崩壊
かつて、柔道整復師や理学療法士の主な現場は、病院や受動的な保険診療でした。集客は「場所」と「保険制度」に守られ、価格(療養費)も他者によって規定される構造。独立しても、差別化の手段は「家から近い」といった物理的な利便性に甘んじるしかない時代でした。
ピーター・ドラッカーは、インターネットが国境を消滅させ、組織を「硬直的な構造」から「自由なパートナーシップ」へと変質させると説きました。これまでの「医療機関=患者が来るのを待つ組織」という定義が通用しなくなることを、彼は予見していたのです。
私たちは、この思想を学び、「病院の傘下にいた理学療法士や、保険診療中心の整骨院が、自ら価値を定義し、自費診療でも選ばれる時代が来る」と確信しました。インターネットは、制度依存の厳しさをチャンスへと転換する大きな変革となったのです。それは、従来のやり方を少し工夫するのではなく、「専門家自らが情報の発信源となる」という構造改革の始まりでした。
【2000年代〜2015年頃】 チラシ反響モデル ―― 広告で「呼ぶ」時代
ネット社会が普及し始めたこの時期、集客の主役は意外にもアナログな「チラシ・ポスティング・地域紙」でした。下請け的な立場を脱却したセラピストたちが、アナログ広告を武器に「初回980円」などのキャッチコピーで新患を「呼ぶ」全盛期です。しかし、このモデルもまた、競合の模倣による価格競争と飽和という運命を辿ります。
【2010年〜2020年頃】 ポータルサイトモデル ―― 比較と誠実さの篩(ふるい)
次に出現したのは、口コミ・比較サイトなどの「検索代行システム」です。流通チャネルが予約手数料を狙うこのモデルは、一見効率的ですが、本物の患者様は「安さ」や「ランキング」だけでは動きません。ネット社会が成熟し、情報の透明性が高まるにつれ、作為的な誘導は通用しなくなりました。今、この領域では、生の声が反映されるGoogleビジネスプロフィールのような「真摯な口コミ」だけが生き残る「誠実さの篩(ふるい)」にかけられています。
【2015年〜2023年頃】 店舗来店型モデル ―― 店舗で「信頼させる」時代
「こだわりの内装で、駅前に店舗を構え、無料体験で商談する」。
この「来店 ➡ カウンセリング ➡ 回数券購入」という流れは、エステやフィットネスが築いた成功モデルの延長線上でした。しかし、多くの治療院が乱立する中で、物理的な箱(店舗)があること自体は、もはや絶対的な優位性ではなくなりました。
【2023年〜現在】 GEO+信用指標型モデル ―― 「先に信頼される」時代
2025年、私たちは「ゼロクリック検索」の時代に突入しました。ユーザーは「腰痛 整体 〇〇駅」と検索し、サイトをクリックする前に、AIの要約やSNSの改善動画、専門性の高い症例コンテンツによって、「予約する前に信頼を完成」させています。
店舗の役割は、集客のための「箱」から、その専門家が実在し、地域で機能していることを証明する「信用の指標」へと変わりました。
「知り合いに確認する」から、「垣根を超えたユーザーに確認する」へ
先日、テレビで紹介された山奥のシイタケ屋さんへ行きました。Googleマップだけを頼りに崖路を進み、ようやく到着。しかし、待っていたのは多忙ゆえの冷ややかな対応でした。
「二度と行かない」
そう確信した瞬間、私は「なぜGoogleの口コミを確認しなかったのか」と後悔しました。テレビの権威よりも、見知らぬユーザーたちのリアルな声の方が、今の私たちにとっては「確かな真実」なのです。
普遍という礎の上に
時代はビジネスモデルの永続を許しません。しかし、どれほど技術が進歩し、AIが答えを出すようになっても、変わらぬ普遍の真理があります。それは、ドラッカーが説いた「パートナーシップ」の本質であり、患者様との誠実な信頼関係です。
数百年続く「手当て」というビジネスモデルも、常に変化を求められてきました。しかしその変化は、決して流行のSNSを追うことではなく、「患者様にとっての真実の価値とは何か」という普遍の礎(いしずえ)の上に、新しい技術と信頼の形を積み重ねることで成し遂げられるものなのです。

